信州大学

農学部ラーニングコモンズの壁面断熱による消エネ促進と展示スペース形成および学生の環境学習効果の向上

  • 内川義行(農学部 准教授)
  • 2024/07/02
農学部の学生ラウンジの断熱改修プロジェクトは、エネルギー価格上昇に対応し、学内施設の持続可能性を高めることを目的としている。学生はDIYで断熱材の設置や窓の改修を行い、地域企業の技術支援を受けながら実施した。施工後の効果を計測し、学内外にその成果を展示することで、断熱技術の普及と環境教育の促進を図っている。学生の実践力向上やエネルギー効率の向上が確認され、地域との連携も強化された。

【研究プロジェクトの概要】

 エネルギ価格の高騰を踏まえて、学内施設・設備のあり方を再考する機会ととらえ、農学部の学生ラウンジ(学生の主体的学習の場)を、 授業科目演習(農村整備演習)において学生がDIYによって断熱するとともに、この協力を地域企業から得ることで、地域連携の構築を模索した。また、施工後の断熱効果について計測試験を実施した。

DIY施工は、県内の協力企業(新津技建、暮らしと建築社ら)から、技術支援協力をいただいた。

施工後の同スペースは日常的な学生利用と共に、施工手順および効果、協力企業名や本事業名を明記した看板表示を壁面に貼り付け常時展示している。これによって今後は、学内外の各施設における断熱手法の必要性、学びと普及に関する情報を、広く発信することができる。学生はもとより、来訪者の環境マインド育成にも貢献すると考える。

【成果】

  1. 断熱施工DIY体験(授業評価より)

授業科目「農村整備演習(後期)」受講生15名により、講義棟2階学生ラウンジ壁面の断熱材と壁板(農学部演習林産のヒノキ板)の貼付施工を実施した。また、窓はヒノキ框戸にペアガラスをはめ込んだ内窓を取り付けた。窓枠と下地枠および天井断熱は、新津技建の協力を得た。なお、壁板材の加工は農学部の製材所で実施した。授業評価(13人回答)から、100%の学生が達成感(強くそう思う38.5%、そう思う61.5%)を得ているとした。また、記述回答でも断熱改修への理解、実践力の向上を評価した内容が確認された。

  • 社会連携と発信

既述の通り、新津技建、暮らしと建築社、アキレス株式会社に断熱講義や資材の説明および施工におけるサポートを頂いた。新津技建においては会社HPでの発信も頂いた(文末参考資料参照)。

また下記写真のように、常時設置看板により施工内容や方法、連携企業QRコードなどを掲載し、展示機能を確保した。

  • 断熱効果

施工完了(1月18日)後、隣接する未断熱教室と比較実験を行った。早朝1時限のみ同時にエアコン暖房を行い、2限目以降切断後の室温変化を比較した(図1)。その結果、断熱した学生ラウンジは暖房後の室内気温上昇が良く、その後の保温効果も高く維持されることが確認された。なお夏期の変化も確認するべく、現在も室内気温計測は継続し、年間を通した効果を確認する予定である。

  図1 学生ラウンジ(断熱実施)と、隣接する21番教室(未断熱教室)の断熱効果比較

写真1:断熱・内窓施工したラウンジ 
写真2:説明看板での手法と協力企業名等の掲示

【WEBサイト発信用 参考資料】

・農学部HP;農学部学生ラウンジの壁面断熱で消エネ促進と展示スペースの形成の取組み ~演習授業で地域企業の協力により学生が実践~

https://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/agriculture/news/2024/01/post-406.php

・信州大学グリーン社会協創機構HP;

・新津技建HP BLOG 信州大学ラウンジ断熱改修工事

https://niitugiken.net/blog/


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