信州大学

新しい水浄化法の高度化と社会実装化に向けた研究 

  • 森脇洋(繊維学部 教授)
  • 2024/07/02
当研究は、水中のマイクロ/ナノプラスチックを除去する手法の開発や、凍結濃縮を活用した水の浄化法の研究を主軸としています。その他、農薬分析や新たな水浄化技術の開発など、持続可能な開発目標(SDGs)に関連する研究も行っています。

 

  1. 研究内容

・水からのマイクロ/ナノプラスチック除去

・凍結濃縮を利用した水浄化法の開発

・その他のSDGsに関連する研究(農薬分析や新規水浄化法の開発など)

  • 業績

論文 (2報)

Mahiro Oshima, Hiroshi Moriwaki; Photoreduction of Cr(VI) by TiO2 adsorbed gold nanoparticles and perylene as a novel organic-inorganic hybrid photocatalyst, Environmental Science and Pollution Research, 2023, 30, 69122-69134. (IF: 5.8, Q1)

Hiroshi Moriwaki, Tomoya Kamine; “Plasma-structural coloring” of penciling on a paper, ACS Applied Materials & Interfaces, 2023, 15(3), 4781-4788. (IF: 9.5, Q1)

解説 (3 報)

秋山 佳丈, 森脇 洋, マイクロプラスチック問題と回収技術開発への取り組み, マリンエンジニアリング, 58 (2023) 817-824.

秋山 佳丈, 森脇 洋, 超音波によるマイクロプラスチックの高濃度濃縮回収機構の開発, 環境と測定技術, 50 (2023) 3-9.

秋山 佳丈, 森脇 洋, 繊維由来を含むマイクロプラスチックの超音波回収技術確立, せんい, 76 (2023) 427-435.

論文投稿中 (3件)(投稿中の論文についても業績に加えた。)

Hiroshi Moriwaki, Natsu Nishimura, Mahiro Oshima, Simple method for removal of pollutants from water by freezing a portion of aquatic solution using a PET bottle, shredder scrap, and household freezer, in contribution.

Tomoya Kamine, Yusuke Okada, Shouhei Koyama, Hiroshi Moriwaki, Pencil Leads Etched by Plasma: Old but New Material that can Modulate the Light Reflection from Visible to IR Region, in contribution.

Hiroshi Moriwaki, Issey Osaka, Kotaro Hashimoto, Osamu Yamada, Direct Detection of Dithiocarbamate Fungicides by SALDI/MS using Porous TiC Ceramic Powder as Substrate, in contribution.

学会発表 (4 件)

大嶋真広, 森脇 洋;ペリレンと金ナノ粒子を担持した酸化チタン粉末を充填したカラムによる六価クロムの連続光還元, 2023年9月8日, 環境科学会2023年会, 神戸, 神戸大学 (2C-1030).

森脇 洋, 大坂 一生, 橋本 虎汰郎, 山田 修; 多孔質TiCセラミックスを基盤としたジチオカーバメート系殺菌剤のSALDI/TOF/MSによる検出, 2023年5月15日, 第71回質量異分析総合討論会, 大阪, グランキューブ大阪 (1B-O-1054)

橋本 虎汰郎, 森脇 洋, 大坂 一生; 排水やホコリ中のマイクロプラスチック・ナノプラスチックの熱分解GC/MS, 2023年5月16日, 第71回質量異分析総合討論会, 大阪, グランキューブ大阪 (2P-25)

飯柴 彩佳, 永井 千智, 宮崎 眞祐, 小西 夏生, 藤原 祥高, 高島 誠司. 精巣環境の変化が精子幹細胞動態に及ぼす影響の解析.2023年9月24日 第116回日本繁殖生物学会総会, 神戸, 神戸大学 農学部キャンパス.

その他

・水族館の水槽へのポイ捨てタバコの影響について, 朝日新聞デジタル (2023/07/10)

・音波収束によりマイクロプラスチックを100倍濃縮, 化学工業日報 (2023/06/23)

・秋山 佳丈, 超音波によるマイクロプラスチック濃縮回収技術, 三機工業株式会社広報誌『Harmony』80 (2023) 12-13.

・森脇 洋, カラーインク無しで色を着ける, 第九回信大見本市.

https://www.shinshu-u.ac.jp/tradefair/research-seeds/category/c01/01-5.html

図1 凍結法を用いた水浄化方法

  • 研究の進捗状況

業績としては上記の通りだが、それ以外にも現在、取り組んでいる研究があるので、最後に記載する。採択の際、審査員の方々からいただいたコメントに対応して進捗状況を記載する。

コメント1:『サスティナビリティ推進という点で、評価実装を実際の地域環境の中で行い地域に成果を還元するなどの、学術研究としての計画以外のプラスアルファがあるとより望ましい。』

信州産の農業生産物の廃棄物利用をイメージし、新たな浄化剤の候補を見つけた。現在、検討中で特許化の可能性もあることから、ここでは具体的なことは記載しない。

コメント2:『ナノプラスチックの除去法についての見通しが分かりにくい。凍結濃縮による汚染物質の除去が災害時に実施できるか、家庭での利用とはいえ水を凍結させるには多大な電力が必要であり実用性があるのかなどの疑問が残る。この点が明確になるとより望ましい。』 凍結解凍法については論文としてまとめ発表し、その詳細、今後の見通しについて触れた。また、災害時の水資源の開発というイメージから、雪を溶かして得られる水の飲用水基準について分析を行っている。雪がどこまで飲用水として活用できるのか、そのためにはどのような処理が必要なのか、現在、検討している。


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その他の研究成果