信州大学
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環境マインド実践人材養成コース 第4期生ゼミⅠ(ローカル編:乗鞍高原)の成果報告

2023/12/04

信州大学全学横断特別教育プログラムのひとつ、環境マインド実践人材養成コースは、在籍する学部に関わらず、環境問題に関心の深い学生を対象に、持続可能な社会構築に寄与する実践的な人材を育成するための特別教育プログラムで、2021年にスタートしました。その課程のカリキュラムの一つ、ゼミⅠローカル編では、信州の環境課題を探る2泊3日の現地合宿を行っています。4期生となる今回は、2023(令和5)年9月19-21日に松本キャンパスの西方に位置する乗鞍高原で合宿を行いました。

乗鞍高原の安曇鈴蘭地区は、古くから山スキーのメッカとして知られ、1934年に日本“最初”の国立公園の一つとして指定されました。もともとは出作り小屋があったそうですが、乗鞍岳登山道路や上高地スパー林道の建設、スキー場の開設などによって観光地化され、旧来の住民に加え、奈川ダム水没地からの移住、観光業を営む方の移住、牧場開設と撤退など、各時代の社会情勢に大きな影響を受けてきました。時代は昭和から平成、そして令和に。その間に観光スタイルの変化、住民の少子高齢化、スキー場の雪不足や一ノ瀬地区の景観変化など大きな問題を抱えています。

このような課題に対して、地域の方々は、行政の施策に委ねるのではなく、自分たちの手でこの問題解決に乗り出すことになりました。地域では、2021(令和3)年に乗鞍高原地区の将来ビジョンである「のりくら高原ミライズ」を策定し、取り組みを開始しました。この取り組みは環境省より、「ゼロカーボンパーク」の第1号とし登録を受けることになりました。さらにこの動きを後押しするため、国家的プロジェクトである「脱炭素先行地域」に松本市と信州大学が共同で名乗りを上げ、最初の地域として認定をされました。のりくら高原地区は、3つの環境課題、「脱炭素」、「生物多様性」、「地域循環共生」のいずれにおいても、先頭をゆく極めて興味深い地域なのです。

4期生のゼミⅠは、本年4月にスタートし、各自がのりくら高原の課題について調べ、議論をしてきました。それをもとに、「のりくら高原ミライズ」の分科会の7つの取り組みに対応する班を結成し、実際に乗鞍高原地域で、地域の方々のお話を伺い、とりまとめたものを最終日に地域の方もお招きし、発表させていただきました。とりまとめたものは、私たちの学習成果ではありますが、地域の方々の思いや学生ならではの視点がたくさん詰まっています。これから乗鞍高原の方々が環境共生型社会の実現にむけて取り組んでいく上でも、私たちが調べたことを乗鞍高原地域の皆さまを始め、松本市にお住まいのみなさん、さらには乗鞍高原を愛する全国の方々にも知っていただくことが大切だと考えました。なお、この成果は、もともとはゼミの中に向けた発表で、至らないところはたくさんあると思いますが、学生たちの素直な受け止めだと暖かい目でご理解いただけますと幸いです。ご意見、ご質問、ご指摘等は、「お問い合わせ」までお願いします。

指導教官:坂本真一・浅野郁

研究発表資料

1班 乗鞍地域におけるゼロカーボンパーク達成に向けて

2班 一の瀬園地 ~賑わいのある地域づくりのために~

3班 乗鞍高原における環境配慮型二次交通システム

4班 一の瀬の草原再生と景観保全

5班 人が絶えないトレイルづくり

6班 乗鞍高原におけるワーケーションの可能性

7班 プロモーションへの挑戦

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